キッズデスクは長く使える? 幼児期の「今」に最適化するという選択肢

この記事のポイント
- 1. 幼児期には「長く使える」ことより、子どもの身体に合ったサイズの机が、健やかな成長を支えること。
- 2. 大きく重い家具は、子どもの「自分でできた!」という大切な体験や、遊びへの集中を妨げてしまう可能性があること。
- 3. 選び方の鍵となる3つの視点(サイズ・重さ・デザイン)と、その背景にあるモンテッソーリ教育の考え方。
お子さんの身体にぴったり合うキッズデスクは、幼児期の「自分でやりたい」という気持ちを静かに、そして力強く育んでくれます。
実は、小学校まで使えることを想定した大きなキッズデスクは、幼児の子ども、特にデスク&チェアを使い始めの1~2歳の子どもには重すぎて扱いにくいというデメリットがあります。
この記事では、世界中で支持されるモンテッソーリ教育の視点を交えながら、お子さんの健やかな成長を支えるデスク選びの具体的なポイントを解説します。家具選びの視点が、きっと変わるはずです。
「長く使える」デスクと、幼児期の「今」に合うデスク
その子のスケールに合う、ということ
小学校に上がっても使えるデスクは、しっかりとした佇まいが魅力です。一方で、ようやく自分の足で立ち、世界を探求し始めたばかりの小さな子どもにとって、その大きな家具はどのように映るでしょうか。
自分の身体にフィットする環境は、子どもに安心感を与え、さまざまな活動への意欲を自然に引き出してくれます。家具との心地よい関係は、健やかな成長の大切な要素。幼児期の「今」に合う大きさのデスクは、そのための素敵な選択肢になります。
「自分でできた!」の体験を、もっと大切に
小さな子どもが、自分ひとりで椅子を引いて座る。使い終わったら、元の場所に戻す。一つひとつは些細なことに見えますが、こうした行動のすべてが、子どもの自立心を育む「自分でできた」という喜びの体験です。子ども自身の力で扱えるように作られた家具は、その貴重な瞬間を、暮らしの中にたくさん生み出してくれます。日々の暮らしの中で、子どもが主役になれる場面を、少しずつ増やしてあげたいですね。
なぜ、幼児期の環境が大切なのでしょう
あらゆる力の土台をつくる、かけがえのない時間
1歳から3歳という時期は、心と身体、そして知的好奇心が目覚ましい成長を遂げる、特別な時間です。この時期に「自分の場所」で安心して遊びに没頭できた経験は、その後の探求心や自己肯定感の、ゆるぎない土台となっていきます。
だからこそ、使用期間の長さという視点だけでなく、この大切な時期の成長を最大限に引き出す、という視点も加えてみてはいかがでしょうか。
それは「勉強机」ではなく、創造の「アトリエ」
幼児期の子どもにとって、机は勉強のためだけにあるのではありません。クレヨンを握って線を描いたり、粘土をこねたり、パズルを組み立てたり。そうした遊びに夢中になるための、いわば子ども専用の小さな「アトリエ」です。
子どもが一人で机に向かい、椅子に座って遊べるようになるのは1歳半ごろから。身体の成長と「やってみたい」という気持ちが重なるこの時期は、自分だけの特別なスペースを用意するのに最適なタイミングと言えるでしょう。
子どもの力を引き出す「モンテッソーリ教育」の考え方
幼児期の環境づくりを考える上で、世界的に評価されているマリア・モンテッソーリの教育法が、素晴らしいヒントをくれます。
子どもが主役になれる「準備された環境」
モンテッソーリ教育では、子どもが自らの意志で活動できるよう配慮の行き届いた「準備された環境」を大切にします。そこでは、家具もまた、子どもの自立を支える重要な「道具」です。
その第一条件は「子どもサイズ」であること。子どもが「自分で使える」ことを何よりも大切にしています。この視点に立つと、幼児期のために作られたデスクこそが、子どもを環境の主役にしてくれるかけがえのない存在だとわかります。
自分で動かせる椅子が、教えてくれること
モンテッソーリの考え方では、子どもが自分の力で椅子を扱えるかどうかが、とても大切にされます。自分で椅子を運び、使い終わったら机の下にしまう。この一連の動作も、自分の行動に責任を持ち、環境を整えるという学びの一つです。
理想的なのは、子どもが安全に扱える軽やかさと、簡単には倒れない安定性を両立した椅子。この「自分で動かせる」という視点は、デスク選びの際にぜひ大切にしたいポイントです。
選び方のヒントになる3つの視点
モンテッソーリの考え方をヒントにすると、デスク選びの基準がより明確になります。
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子どもの身体に合うこと:椅子に座ったとき、足の裏全体が床にしっかりと着く高さが理想です。姿勢が安定することで、手元の作業に心地よく集中できます。
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安心できること:角がやさしく仕上げられていたり、子どもが触れても安全な塗料が使われていたりすると、安心して見守れますね。
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シンプルさと素材の良さ:木のような自然素材の温もりは、子どもの五感を豊かに刺激します。装飾を控えたシンプルなデザインは、子どもが目の前の活動そのものに深く集中する助けとなるでしょう。
デスクを選ぶことは、「この家具が、子どもの『自分でできた!』という輝く瞬間を、どれだけ生み出せるだろう?」と想像すること。そう考えると、お子さんにとって本当に価値のある一台が、きっと見つかるはずです。
キッズデスク選びのQ&A
長く使える方が、合理的ではありませんか?
長く使えることも素晴らしい価値ですが、幼児期という短いながらも大切な時期に最適な環境を整えることにも、大きな意味があります。その時期にしかできない豊かな体験が、子どもの未来の土台を築きます。
1歳半で机を用意するのは、少し早いでしょうか?
この時期は、手先を使う遊びに興味が芽生える頃です。「自分だけの場所」を用意してあげることで、子どもの自然な発達や「やってみたい」という気持ちを、やさしく後押しできます。
モンテッソーリ教育の考え方とは何ですか?
子どもの「自分でやりたい」という気持ちを尊重し、自立を支える環境を大切にする教育法です。家具も、子どもの健やかな発達を促す「道具」として捉えるのが特徴です。
どのようなデスクを選べば良いでしょうか?
お子さんが座ったときに足裏が床につき、椅子を自分で少し動かせるくらいのものが理想です。素材は温かみのある木製で、角が丸いなど安全に配慮されたものをおすすめします。
幼児期しか使えないのは、少し贅沢でしょうか?
幼児期は、その後のすべての学びに繋がる土台を作る、かけがえのない時間です。その時期にふさわしい上質な環境を整えることは、お子さんの未来への素晴らしい贈り物になると、私たちは考えています。
実は、私たちMINORINOも製品開発の際に「できるだけ長く使えるデスク」と「幼児期の成長に最適なデスク」との間で、長い議論を重ねました。最終的に大切にしたのは、ベビーからトドラー期のお子さんの「自分でやりたい」という自発性です。そのかけがえのない瞬間を何よりも尊重し、現在の幼児期に最適化したサイズ感を選びました。