【特集】専門家からみたMINORINO

「考える探検」の基地をつくる―子どもの居場所となる家具MINORINO

沢井 佳子さん (日本こども成育協会理事/チャイルド・ラボ所長)

【特集】「考える探検」の基地をつくる―子どもの居場所となる家具MINORINO((一社)日本こども成育協会理事/チャイルド・ラボ所長 沢井佳子さん)

「インテリアになる知育家具。」をコンセプトに、国際モンテッソーリ教師監修のもと、子どもの自立心や思考力を育むための設計がされたキッズ家具・MINORINO(みのりの)。MINORINOの設計において、私たちが教育的価値と同じくらい大切にしているのがデザイン性です。それは、親子が長い時間を共に過ごすリビングでこそ使って欲しいという思いがあるためです。そんなMINORINOの魅力を、認知発達支援の専門家である沢井佳子先生に第三者視点で語っていただきました。

 「育ち・育てる」成育環境

「考える遊び」をデザインする仕事を続けてきた私は、子どもの成長と発達を支える「成育環境」への関心を深めてきました。成育環境とは「育ち・育てる環境」です。子どもは、生まれつきインストールされている「発達する力」に動かされて、見て・聞いて・触る感覚を楽しみ、手を動かして考え、まわりの世界のモノや人を理解してゆきます。子どもは、大人から教えられなくても、環境の中のモノや人に働きかけ、遊びながら論理性や社会性を学ぶのです。

 

子どもの身体が大きくなる「成長」と、子どもが考え・わかり・できるようになる「発達」とを支えるために、「大人が成育環境をどのようにデザインするか?」が、家庭においても社会システムにおいても、子育ての重要な課題だといえるでしょう。

こうした「成育環境のデザイン」を、私が(一社)日本こども成育協会の仲間と共に進める中で出逢ったのが、(株)NEMを創業したCEOの志村千奈都氏です。志村氏は、幼いわが子のために、リビングルームの「インテリアになる知育家具。」を開発し、組み合わせ自由のモジュール家具MINORINOとして製品化しました。無垢の木材のベージュと黒のツートンカラーで、部屋に調和するモダンな色と形の家具。そして、モンテッソーリ教育が重視する、「大人に助けられなくても、ひとりで作業ができる」、「子どもがやりたいことを自分で決められる」等々を可能にする機能と安全性を備え、行動的に考える子どもをサポートする家具なのです。

考える子どもを励ます、愛ある応答

 子どもの居場所がリビングルームにあるメリットは、「親が見守りやすいこと」のみならず、「子どもが親の応答を得やすいこと」にあります。デスクで熱中して絵を描く子どもも、たまに親を振り返って、「見て!」「どう?」と反応を確かめる瞬間があります。

そうした「社会的参照」と呼ばれる行為に、親がうなずいて応答するだけでも、子どもは安心して、創作の探検を続けられるのです。その様子は、ベースキャンプと交信しながら、ひとり登頂を目指す登山家のようなもの。課題に果敢に挑む、自立した子どもには、考えるための基地があり、その背後には、大好きな人が居るものです。志村氏が開発したMINORINOは、家族がくつろぐリビングルームがもたらす愛着の力を引き出し、考える子どもに、美しく知的な成育環境を与える装置なのです。

沢井佳子
SAWAI, Yoshiko

(一社)日本こども成育協会理事。チャイルド・ラボ所長。

認知発達支援と視聴覚教育コンテンツ開発が専門。お茶の水女子大学大学院修了。専攻は発達心理学、認知科学。
幼児教育番組『ひらけ!ポンキッキ』(フジテレビ)の心理学スタッフ、 お茶の水女子大学大学院研究員、静岡大学情報学部客員教授を歴任。 幼児教養番組『しまじろうのわお!』(テレ東系列)監修、 『こどもちゃれんじ』(ベネッセ)の「考える力」プログラム監修。 ハッピーセットの玩具(日本マクドナルド)監修。 編著書に『6歳までの子育て大全』(アチーブメント出版)ほか、 監修した出版物やデジタルアプリは多数。日本子ども学会常任理事。 人工知能学会「コモンセンスと感情研究会」幹事。 みんなのケア情報学会理事。BPO(放送倫理と番組向上機構)青少年委員会委員。