知育家具&玩具のプロが伝える!子どもの自立を育む「おもちゃ収納」の選び方

こんにちは。知育家具専門メーカーのMINORINOです。

「おもちゃ収納、どう選べばいいの?」「片付かない…」そんなお悩みをよく耳にします。実は、おもちゃ収納の選び方一つで、お子さんの自立心や片付け習慣が大きく変わるんです。

私たちは、家具が単なる収納道具ではなく、子どもの成長を支える教育的役割を持つという考えのもと、「知育家具」という新しいカテゴリーを提唱しています。おもちゃ棚もその一つ。選び方次第で、お子さんの認知発達や自己管理能力を育む重要なパートナーになるんです。

今回は、モンテッソーリ教育の考え方も取り入れた、本当に使いやすいおもちゃ収納の選び方をお伝えしますね。

 

おもちゃ収納は「2種類」に分けて考えましょう

まず大切なのは、おもちゃ収納を目的別に分けて考えることです。

①子どもが日常的に使うおもちゃ収納
お子さんが毎日自分で取り出して、自分で片付ける収納家具

②おもちゃをストックしておく収納
今は使わないおもちゃや、季節外れのおもちゃなど、いわゆるスタメン以外のおもちゃを保管しておく収納家具

多くのご家庭では「おもちゃ収納は一つあればいい」という先入観をお持ちかもしれません。でも実は、用途を分けて考えることで、驚くほど効果的な環境が整うんです。

すべてのおもちゃを一つの収納に詰め込もうとすると、こんなことが起こります。

「ママ、あのおもちゃどこ?」が口癖に
おもちゃがぎゅうぎゅうに詰まっていて、お子さん自身が見つけられない

遊んだ後が散らかり放題
どこに何を戻せばいいかわからず、結局お父さん、お母さんが片付ける羽目に

せっかく買ったおもちゃで遊ばなくなる
選択肢が多すぎて選べず、いつも同じおもちゃばかり引っ張り出す

片付けのたびに親子でストレス
「片付けなさい!」「どこにしまうの?」のやりとりでお互いイライラ

実は、これらは収納の「量」や「仕組み」を見直すだけで、ぐっと改善できるんです。

 

子どもが使うおもちゃ収納で最も大切なこと

お子さんが「自分で」使えることを第一に考えましょう。

モンテッソーリ教育では、子どもが自分で選び、自分で片付けられる環境を整えることを大切にしています。この考え方は、おもちゃ収納を選ぶ上でとても参考になります。

子どもは本来、自分でやりたい気持ちを持っています。その気持ちを活かせる環境を、私たち大人が整えてあげることが大切なんですね。

モンテッソーリ教育が教える「環境の秩序」と脳の発達

モンテッソーリ教育では「準備された環境/整えられた環境(Prepared Environment)」という考え方がとても大切です。これは単なる片付いた空間を意味するのではなく、環境の秩序が子どもの内面的な秩序の形成を助けるという、発達心理学的な意味があるんです。

外部秩序から内部秩序へ

特に0歳から6歳は「秩序の敏感期」と呼ばれ、環境の恒常性や順序性に強い執着を示す大切な時期です。物が決まった場所にあり、予測可能であることは、お子さんに世界への信頼感を与えます。

外部環境が構造化されている、つまりすべてのおもちゃに定位置がある状態は、お子さんの脳内で情報を分類・整理する回路の形成を促進するんです。

自己調整機能のトレーニング

おもちゃを「選ぶ」→「遊ぶ」→「元の場所に戻す」という一連のサイクルは、実行機能のトレーニングそのものです。

しかし、このサイクルが成立するためには、「元の場所」が明確に定義されている必要があります。

  • 「おもちゃ箱に放り込む」行為…分類を必要としないため、脳への認知的要求が低く、教育的効果は薄い
  • 「棚の指定されたトレーに戻す」行為…空間認識、分類能力、そして自己抑制を必要とする高度な知的作業

つまり、収納の選び方は、お子さんの脳の発達に直接影響を与えているんですね。

では、こうした理論を踏まえて、具体的にどのようなおもちゃ収納を選べばよいのでしょうか。大切なポイントを見ていきましょう。

子どもの体格に合った高さを選ぶ

高さのある本棚は収納力がありますが、お子さんが一人で使うには心配な面があります。

  • 高い場所のおもちゃに手が届かない
  • 上の段から落ちてくる危険性がある
  • 選択肢が多すぎて、かえって選べない・片付けられない

お子さんが立ったまま、無理なく手が届く高さを選んであげてください。目安としては、お子さんの胸の高さまでの範囲に収まる収納棚がおすすめです。「自分で届く」という体験が、お子さんの自信と自立心を育てます。

このくらいの高さの収納棚であれば、天板面がおままごとやお店屋さんなどのごっこ遊び、ミニカーや電車のおもちゃを走らせたり、工作などの作業スペースとしても活用できます。プレイテーブルの役割を果たしてくれるので、遊びの幅がぐっと広がりますよ。

おもちゃは「今のスタメン」だけを厳選する

ここが、とても重要なポイントです。

子どもが自分で使うおもちゃ収納には、数個程度のおもちゃを置けば十分なんです。

意外に思われるかもしれませんが、お子さんが自分で把握・管理できる量は、実はそれほど多くありません。

「今」のお子さんに遊んでほしいおもちゃ、発達段階に合ったおもちゃだけを厳選して置きましょう。

オープンシェルフが推奨される理由

おもちゃ収納にオープンシェルフが推奨される

おもちゃ収納の定番といえば、大きなおもちゃ箱。

しかし、おもちゃ箱に全部まとめて入れてしまうと、底の方のおもちゃは見えなくなり、結局使われなくなってしまいます。一方、モンテッソーリの教室や家庭でよく見られるオープンシェルフなら、何がどこにあるか一目でわかり、手も届きやすいんです。

この「見えるから選びやすい」ということが極めて重要なのです。箱を開けたりひっくり返したりしなくても、何があるかすぐわかる。これが、お子さんが「遊ぼう」と思い立つハードルを下げてくれます。

お子さんは、目に入ったおもちゃに自然と興味を持ちます。棚に並んだおもちゃは「ねえ、遊ぼうよ」と語りかけているようなもの。そして、どこから取ったかがはっきりわかるので、片付けるときも迷いません。

そして、定期的に入れ替えることで、お子さんの興味を新鮮に保つことができます。今遊んでいないおもちゃや季節外のおもちゃは、ストック用の収納へ。しばらくしてから戻してあげると「久しぶり!」と、また夢中になって遊んでくれますよ。

すべてを入れ替える必要はありません。お子さんのお気に入りや、継続的に遊んでほしいおもちゃは、もちろんそのまま常時置いておいて大丈夫です。

細かいおもちゃには「引き出し付き収納」

細かいおもちゃ収納には「引き出し付き収納」

ブロック、ミニカー、おままごとセットなど、細かいパーツがあるおもちゃには、小分けの引き出し付きの収納がおすすめです。

繰り返しになりますが、大きな引き出しや箱にまとめてしまう方法は、片付けた瞬間は整って見えますが、いざお子さんが「あのブロックで遊びたい」と思ったときに探し出せません。また、「とりあえず箱に入れる」だけでは、片付けの概念も育ちにくいんです。

細かいおもちゃは、仲間ごとに分類して収納できるものを選んでみてください。

  • ブロックは引き出しA
  • ミニカーは引き出しB
  • おままごとセットは引き出しC

このように分類することで、お子さんは「同じ仲間を同じ場所に戻す」という片付けのルールを自然と学べます。「ブロックはここだね」と声をかけながら一緒に片付けるうちに、自分からできるようになっていきますよ。

もしくは、オープンシェルフと整理整頓用のトレーやバスケットを併用するのも、おすすめの環境設定です。

絵本収納は「見せる収納」と「保管」の使い分けを

絵本収納にも、ちょっとした工夫で大きな違いが生まれます。

今読んでほしい絵本を「表紙を見せて」飾りましょう。

具体的には:

  • 季節の絵本(春なら桜やちょうちょの絵本など)
  • 今の成長段階に合った絵本
  • 繰り返し読んであげたい絵本

表紙が見えることで、お子さんは自分で選びやすくなります。文字がまだ読めない小さなお子さんでも、表紙の絵を見て「これ!」と選ぶことができます。

そして、それ以外の絵本は別の本棚にストックしておき、月に一度など定期的に入れ替えることで、いつも新鮮な気持ちで絵本に向き合えます。図書館で新しい本を借りてきたような、わくわくする気持ちを、お家の絵本でも味わえるんです。

 

おもちゃ収納は「子どもの自立」を育てる大切なパートナー

おもちゃ収納は、ただおもちゃをしまう場所ではありません。

  • 自分で選ぶ力(主体性)
  • 自分で片付ける習慣(自律心)
  • 分類して考える力(思考力)
  • 物を大切にする心(責任感)
  • 集中力・やり遂げる力(自己管理能力)

これらを育てる、大切な「知育家具」なんです。

お子さんの成長に合わせて、ぜひ使いやすい収納環境を整えてあげてください。最初は一緒に片付けながら、少しずつお子さんのペースで。焦らなくて大丈夫です。きっと、「自分でできた!」という誇らしげな笑顔が見られるようになります。

私たちMINORINOは、モンテッソーリの理念に沿った、お子さんの自立を育むおもちゃ棚をご提案しています。お子さんの成長を見守る収納選びに、ぜひお役立てください。

 


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